#0116 韓国政府主導のバッテリー談合!専門家らも猛批判!
今回の3行まとめ!
- バッテリー3社のKバッテリー同盟結成!
- 法的には不正な談合と指摘される可能性も
- 企業間の競争力低下を招く?
これは韓国のバッテリーメーカー3社、サムスンSDI、LG化学、SKイノベーションが国家バッテリー産業の競争力強化のために協力し合うべきだと提唱されたことで始まりました。
主には現代自動車とバッテリー3社の関係の方をそう呼ぶようです。
電気自動車の需要増など、今後バッテリーへの需要が高まると予想されることから、政府が国を挙げて国際競争力を強化していくとしています。
(参考)電子新聞 2020/08/18
すなわち、現代起亜車の電気自動車に搭載されるバッテリーは韓国国内メーカーのバッテリー同盟を使用することで、国と企業総帥達が合意したという事です。
自動車メーカーとバッテリーメーカーが合弁会社を作って協力体制を取る流れが一般化している中で、ライバル企業同士の同盟が必要なのかという反対意見も出ています。
専門家からは、公正な競争を阻害するだけでなく、各企業の発展の助けにもならないと厳しい見方を示しています。
(参考)国民日報 2020/08/17
また、各企業が大金を投じて生みだした技術を、他の企業と共有することを望まないと思われ、仮に強制するとしても、全ての情報を共有しないと予測されています。
法的にも業者間の不法な談合だとみられる可能性が高いとしています。
国内公正取引委員会の審査でも違法とされる可能性が高く、これを例外規定としても、国際的には認められないだろうとしています。
学会からは、政府が経済を国家単位で考えることこそ不適切だという指摘があるようです。
政府が国家競争力のために企業に同盟を求めるのは不適切であり、結果として新技術の開発競争を鈍化させると厳しく指摘しています。
編集所感
今回の概要
- 中国の海外バッテリーメーカー排除
- 韓国政府主導の産業育成
- 苦戦が続く日本企業
今回の韓国政府がバッテリー開発競争を国家という縦割りにしようとした原因は、中国にあると思われます。
世界のバッテリー企業が市場規模の大きな中国での成功を夢見て進出する中で、中国政府は「バッテリー模範基準認証」なる制度を導入。
これは認証を受けたメーカーのバッテリーを搭載した電気自動車の購入に対して補助金を支給するというもので、事実上海外メーカーの締め出しとなりました。
2016年の話なので、主に日本メーカーと、THAAD配備で対立した韓国メーカーに照準を合わせたわけです。
こうした中国企業の国内優遇措置を受けて韓国はヨーロッパへとターゲットを変えたわけです。
ヨーロッパでは結局日中韓が争うかたちとなりましたが、最近では核心技術をアジア諸国に頼ってはならないと、EU企業も業務提携するなどして反撃ののろしを上げています。
こうして中国やヨーロッパが排外的になるなかで、韓国としても次世代産業として、国家的にバッテリー産業を育成しようと今回の動きがあるわけです。
韓国も中国の補助金制度を参考にしたのか、海外メーカーが多い高級車を補助金対象外にして、国産自動車とバッテリー企業を実質上優遇するかたちにしました。
(参考)アジア経済 2020/08/09
中国は一部規制を緩めて韓国のSKイノベーションが対象になったとも報じられたようですけど、韓国も自国産業保護に忙しいですね。
(参考)毎日経済 2020/04/20
産業の国家的支援はどこの国でもありますが、それにしても複数のメーカーを横に繋げて協力せよというのはいささか不適切だと思います。
そもそも実現するのかな?
例えばサムスンSDIは全固体電池を目指していて、LG化学はリチウム硫黄電池を目指していますけれども、この技術を共有するというのは無理があると思います。
相手企業が全情報を共有するかどうかも分からないのに、自ら全情報を差し出したりしますかね?
国が同じというだけでライバル企業であり、国内外問わずお互いが他の2社を出し抜こうと必死で競っているところだと思います。
それを衝突せずに技術協力を行うかどうかは企業間が戦略的に行うことであって、国の戦略だからといって技術だけ共有しようというのはないでしょう。
また、国内3社だけで技術知識を共有するとなると、明らかに他の国内外メーカーは不利益を受けるわけで、適切な関係とは思えません。
補助金排除よりもひどいやり方ではないですか?
韓国政府はいったいどのような妄想を描いてしまったのか・・・。
国内からも批判的な声があるようですが、韓国はこうした政府主導の世界戦略はいくつかの成功を見ていることも確かです。
当然企業努力もありますが、巨大企業に力を結集することで各業種で世界的なシェアを獲得してきました。
中国も同様の政府主導という方法で、星の数ほどある企業を淘汰して巨大企業を作り上げ、競争力を高めています。
一方で日本の政府戦略や支援はことごとく外れ、鉄鋼や造船、半導体やディスプレイなど、次々と力を失っていきました。
日本の場合はむしろ政策の失敗で、結局は個々の企業の地道な努力によって現在の地位が確保されています。
日本は多くの同業企業がしのぎを削り合い、身を削ることで技術を磨き、超巨大ではないながらも世界での地位を確立し、維持してきました。
韓国や中国はむしろ国内での競争をある程度制限し、巨大化することでコストを削減して世界と戦ってきました。
やり方はどうあれ官民一体となって世界戦略を描いていくつもの成功を収めているわけです。
現実として、過小評価して嘲笑している場合ではなくて、あなどれない相手だということを皆さんには認識しておいてほしいです。
お〆め
あと、iPhoneを繋いで音楽聴いたりできます。
それでもコスト競争が激しくて、必ずしも自国産を使うというわけではないようですけど。
水素生産基地の建設も進まなくて大変みたいです。
そして電気自動車が技術革新で大成功したら、水素車自体も必要ないかもしれないです。
そして・・・
わたしのおかげだよと密かにつぶやいてます。
早めに出社してエアコンでガンガンに冷やして汗拭くとか。
そう、清潔好きの心優しいOLなんです。これで行きましょう!