#0087 中国製品不買運動を加速させるインドとその実現性
インドの保守的な政治家達は、レストランやホテル、スマートフォン、スマートフォンアプリ、がん具、機械製品などに渡って不買を行うように呼びかけています。
地方政府もこれに呼応し、中国企業との契約を解消するところも出てきているようです。
中央政府は、原産地表示を明確にし、国内産と中国産を明確にするよう支持しているようです。
(参考)SCMP 2020/06/27
さらに政府は59の中国製スマートフォンアプリの禁止を発表しました。
これにはWeChatやTikTok、Weiboといった人気アプリも含まれています。
中国製のアプリを削除するアプリが数百万ダウンロードされたとのことですが、これはしばらくしてGoogleに削除されたそうです。
(参考)SCMP 2020/06/28
しかしスマートフォンに関して言えば、中国メーカーが65%のシェアを持っていて、先日オンライン発売されたOnePlus8Proは数分で売り切れたと言います。
また、Xiaomiのノートパソコン2機種も発売から2日で完売。
インドにおける中国製品不買運動の難しさを示しているようです。
インドはAIや5Gなどの先端分野でも中国に依存していますが、今後これらがどう扱われるようになるか注目が集まっています。
それでもTikTokやZoomの替わりとなる国産アプリがリリースされるなど、抵抗が続いています。
実際のところ、インドの輸入の16%が中国からであり、インドから中国への輸出は全体の僅か2%。
インドは対中国貿易赤字がとてつもなく膨らんでいるのが現状です。
国内大手のサービスの多くも中国企業から出資を受けていることから、インドの中国製品不買運動、脱中国は困難を極めるものと考えられます。
編集所感
とはいってもインドの中国への依存度は極めて高く、言うほど簡単ではありません。即ち相当の覚悟を要するということです。
この点においては日本も全く同じです。決意というものが必要です。
一つの例が挙がっていたのですが、蚊を倒すラケットのような便利グッズがあるんですけど、これを全てインド産で賄った場合、価格が1.5倍程度になるというわけです。
特にプラスチック部分に関してはインド製は3倍近くになってしまうというわけです。
インドの商工会議所のお偉いさんはこう言ってるわけですよ。「中国製品の不買運動は現実的ではない」
その一方で、「依存度を緩和するように努力すべきだ」と付け加えています。
こういうのも難ですが、ガンジーの国もこの程度かと思ってしまいましたね。
わたしは真っ先に思い浮かべましたけどね。ガンジーと糸車の写真を。
例え高くても、品質が劣っても、インドで作られた綿製品を使おうと、そういった独立心を呼び起こすメッセージだったと思います。
とは言っても、依存度が高ければ高いだけ抜け出すのは容易ではないですし、極端に舵を切るのは難しいということです。
ただ、インドは日本とは違って途上国なので、中国製品につけいられる隙が非常に大きかったわけです。
生活の多くが中国によって蝕まれていると表現してもよいでしょう。
そこからの脱却は極めて困難だと思います。
スマートフォンなんて脱中国は極めて難しいでしょうね。サムスンか国産機を買うことになりますけど・・・。
アプリに関しても、そもそもどこの国のアプリか明確に表示されているわけでもないですし、それによって使用するかどうかを決めるという人も少ないでしょう。
インドでは政治家達が積極的に働きかけを行っているようですが、国内産業への支援も同時に必要となるでしょう。
今やインドも感染症が大きな広がりを見せていて、それどころではないという側面もあるとは思いますが・・・。
また、無理に国産化しなくても別の国へと切り替えるという方法もあります。今は2000年代とは違って選択肢はたくさんあります。
製造やサービス関連以外でも中国とインドは問題を抱えているようですね。
インド洋の沖、排他的経済水域の外で、中国漁船が漁場を荒らし回っているという報道がありました。
インド政府は沖合での漁獲を推進していないので、中国が大量の魚を獲って、大金を稼いでいるそうです。
こうした中で中国が警戒感を強めているのがクアッド。日米豪印4カ国による海洋を中心とした非公式戦略的軍事グループの存在です。
4カ国が様々な組合せでインド洋や南シナ海で合同演習を行ったりしていますが、ここ最近の中国の出過ぎた動きは、この4カ国の結束を強める結果になると思います。
インド洋は中国の一帯一路構想の最も重要地点の一つであり、スリランカの港をリースしてその航路を確保したとしています。
安倍首相はインドのモディ首相とは頻繁に会談を行っていて、日本とインドの関係をより強固にしようという意図が見て取れます。
中国への警戒感という点で両国は一致していますし、今後の経済協力の拡大も双方が期待していることでしょう。
どうやら高速鉄道は難航しているようですけどね・・・。
これを機にインドも国内産業を活性化させることができればと思います。
また、中国以外の投資家からも積極的にインド企業への投資を呼び込んで、中国への依存度が少しでも下げられればと思います。
インド人にとって、国際社会における中国とインドの関係性や立ち位置を見つめ直す機会ですから、より良い道を模索して欲しいものです。
お〆め
えっとお米。宝石類。ダイヤモンド。機械類。石油化学製品。
精製油。薬剤。電子機器。自動車。自動車部品などなど、こんな感じですね。
おっと、この統計は対中国だけじゃないのか・・・。
おっと、この統計は対中国だけじゃないのか・・・。
ただ、シェア一位のスズキはインド人としては国内企業なのかもしれません。
国内企業が押し出されてしまうというのが途上国な深刻な問題の一つですね。