#0083 韓国公営放送KBS従業員1,000人削減!
(参考)中央日報 2020/06/24
受信料を徴収したり、その役割などNHKと似た体質で提携関係もありますが、国営ではなくてあくまで公企業なの公営ということだそうです。
広告収入も認められているためCMが流れている点はNHKと大きく異なる点です。
韓国ではメディアの多様化によって放送局の収益は軒並み悪化していて、受信料収入のあるKBSも例外ではないということのようです。
KBSによると、先月5月までの事業損失額が360億ウォンであり、このペースが続けば今年は1,000億ウォンから1,200億ウォンの営業損失となると予測しています。
KBSは2023年までに従業員1,000人を削減するという非常経営革新案を発表しました。
これによると来年以降、定年退職などの自然純減で900人。その他に100人を追加削減することで、従業員1,000人削減を達成するとしています。
現在のKBS職員は5,300人で、今後は必須人材を除いて新規採用を暫定的に中断すると発表しています。
当然これには労働組合が反発しています。
労組関係者は「KBS経営陣が経営悪化を口実に、従業員の生存を脅かしている」
「経営陣は経営の失敗を認めて辞任しろ」などと発言しているようです。
(参考)東亜日報 2020/06/25
昨年社長交代のあったKBSですが、昨年も759億ウォンの営業損失を計上しています。
これは地方送信所の敷地売却など試算売却で穴埋めして当期純損益は16億ウォンの黒字となりましたが、
事業の赤字傾向は歯止めが利かず、今後に向けて抜本的な対策が必要とされています。
編集所感
BSではKBSワールドのニュースを観ることができますが、BSNHKを観ている人なんてほとんどいないですよね・・・。
KBSは受信料を徴収している公営放送ということで、NHKと極めて似ています。
KBSの受信料徴収は少し変わっていて、電気料金に含まれているということで、全世帯がほぼ自動的に徴収されているようです。
テレビ受信機がないことが証明できれば分離することも可能ですが、手続きが煩雑でかなりの難易度があるようです。
これを分離するよう訴訟が行われているようですが、なかなか実現していないですね。
さて、KBSの財務情報はホームページで公開されていて、ある程度の情報はここから得ることができます。
(参考)KBS 2018財務情報
これによると受信料収入は全体の45%を占めていて、6,595億4,500万ウォン。日本円で約585億円。
NHKの受信料収入が2019年実績で7,231億円ということですから、それと比べるとかなり小さいです。
(参考)NHK 令和元年度決算
従業員数もNHKによると昨年度は10,333人。
日本との人口比率で考えますと、従業員数はほぼ比例していますが、事業規模は全く異なるようですね。
人件費もざっくり比較すると、NHKが1,115億円。
KBSが4,625億ウォンで約410億円ですから、まあ似たようなものかなと推測できます。
逆に言えばいかにNHKが巨額の受信料に支えられているかということでもありますけど・・・。
韓国の受信料に関しては、準公営放送局であるMBCが、自分たちも受信料を徴収したいと言いだして波紋を呼んでいます。
(参考)朝鮮日報 2020/05/08
MBCも例に漏れず、広告収入の減少で特に地上波放送は深刻な打撃を受けていて、こちらも昨年は966億ウォンの営業損失ですか。
今年は両社共に感染症の流行で広告収入も更に激しく落ち込むでしょうから、深刻な状況に陥るでしょう。
さらに韓国でもYouTubeやNetflixの進撃が続いていて、既存メディアのような規制を受けないため不正競争だと喚いています。
既存メディアはどこの国でもこのままでは縮小していかざるを得ない状況で、色々な生き残り策を打ち出してはいます。
韓国でも打倒Netflixを掲げてオンライン動画配信サービスがいくつか立ち上がりましたが、面白いほど明暗が分かれているようです。
KBS、MBC、SBSの地上波3社が通信会社のサービスと統合して新サービスを開始しましたが、残念ながら勝手に討ち死にという結果に終わりそうです。
スマートフォン向けのプレイヤーアプリがAndroidとiOSともに1点台の低評価。
これはサーバがそもそも不安定な事に加え、無料視聴期間の終了、割引特典が提供されないことや機能不足もあって、サービス統合でゴミ化したという評価を受けているということです。
日本でも放送局各社が様々行っていますが、どれも芳しくないようですね。簡単ではないようです。
ここにAppleやディズニープラスなども入ってくるわけですから、もはや番組提供企業に成り下がってしまいかねないですね。
それでも良いものが作れるのであれば活路ではありますが、主導権争いでは完全敗北ということです。
今回もまた労組が反発していますが、彼らの主張はあまり納得がいきませんね。いつもそうですけど。
既存の従業員を守るために新規雇用を見合わせて耐え忍ぶということです。
その、自然減以外の100人の削減が問題ということなのでしょうかね。
これがどのような部門で、どのような待遇を受けることになるのかも分からないまま叫び続けるのはいかがなものでしょうか。
希望退職で円満退社になるのであれば、問題ないとも思いますが、そういうことではないですか?
放送各社は人件費が支出全体の30%超を占めているようなので、ここに着手するのは一つの考えではあります。
それを経営責任にして経営陣が退陣しろというのはね。社長が替わったばかりなのに。
労組もそういうのではなくて、費用削減の具体的かつまともなアイディアを提言してはと思います。
大きい声で横暴だと叫ぶのではなくてね。まあそういう面もあるんでしょうけど、もう少し踏み込んだ議論ができればと思います。
既存メディアはビジネスモデルの転換を迫られているわけで、テレビ局がいつまでもテレビ局という看板ではダメなのだと思います。
全世界のテレビ局に突きつけられている問題で、新時代に通じる収益モデルの構築に全社、いや、業界が一丸となって取り組むべきだと思います。
あ、もうオンライン有料配信は敗北したのか・・・。
お〆め
どうあれ国営にせよ公営にせよ、社会に於いて一定の役割があるわけですけれども、韓国では公営が二社あってややこしいことになっています。
あ、でも、受信料を電気料金から取るっていうのはすごいずるいやり方ですね。
ところで韓国の公営放送は潰れますか?
そして・・・
しかも何だかうまくいっているらしくって、ちょっと羨ましいです。
でも人気になりすぎると大変そうで、困りますぅ。