#0078 韓国政府が見捨てた双龍自動車!自動車部品メーカーなど自動車産業への救済は?
韓国政府は新型コロナウイルスの影響を受けている企業に対する支援の対象を検討していますが、双龍自動車はこの対象ではないと明言しました。
インドの親会社マヒンドラはこれ以上の新規投資をしないと実質上の経営放棄を宣言したため、双竜車の最後の頼みの綱は政府系金融機関からの融資でした。
しかし、産業銀行側からは相次いで「双竜車は支援対象外」という発言が出ています。
基幹産業安定基金は感染症の影響を受けた企業のためのもので、双竜車のようにコロナ以前から困難な企業のためではないとしています。
産業銀行会長は「お金だけで企業を活かすことができるわけではない」とし「資金だけではなく事業が必要だ」と指摘しました。
「双竜が真剣に悩まなければならない」とし「現在の状態では疑うほかない」と苦言を呈しました。
双龍自動車は資産売却や役員削減などの自救努力を行ってきて、これに対しては責任ある努力だと評価されました。
しかし大々的な人材構造調整の他に解決方法がないなど、努力不足も指摘されています。
双竜車はすでに労使間交渉を通じて賃金削減も行っていることが評価されていないことになり、
公式な見解はありませんが、失望しているものと思われます。
来月満期を迎える産業銀行の融資900億ウォンに対しては、現状ではギリギリの状況で、条件次第では延期の可能性もあるようです。
ただ、延期されたとしても根本的な状況は変わらないため、産業銀行は更なる最善の努力を求めています。
双竜車は2009年の整理解雇人員の復職を政府と共に進め、先月最後の1人が復帰を果たしました。
しかしその直後にまたリストラの必要性を指摘され、文在寅政権の新労働路線の矛盾が明らかになっています。
(参考)朝鮮ビズ 2020/06/15
編集所感
3弱もこの状況の中、国内販売が好調でしたが5月の実績は急落で、双龍自動車が支援対象外となったことは、他の外資2社にとっても他人事ではありません。
率直な感想としては、産業銀行の判断を支持しますが、部品業界や労使問題などを考えると非常に複雑なことになっていきます。
双竜車がもしも倒産してしまうことになれば、韓国GMやルノーサムスンの連鎖倒産、あるいは撤退もあり得るからです。
そしてそれは自動車部品メーカーの連鎖倒産にもつながり、現代起亜にまで影響を与えるでしょう。
先日蔚山工場の事故による影響で、現代自動車の部品メーカーが生産停止となり、複数車種の生産が不能となりました。
さらには別の部品メーカーが事業中断を決断し、その影響で複数の工場の稼働が停止する事態に陥っています。
(参考)News1 2020/06/18
自動産業というのは一つの生態系であるため、たとえ部品メーカーでも一社が脱落すると全体への波及が大きいことがこのことからも伺えます。
双龍自動車の崩壊は、韓国自動車産業の衰退に繋がることは間違いないでしょう。
ただ他の生き残った企業が反射利益を得ることができるという見方もあります。
とはいえ韓国GMやルノーサムスンはそういう考えができるほど体力はありませんし、グローバル市場の状況悪化から、親会社が撤退を決断する可能性も少なくありません。
かといってこの状況で外資系企業を救うために政府が国税を投入するのも容易ではありません。
韓国では日産の撤退を不買運動の勝利として高笑いしたかもしれませんが、外資3社も同じように撤退の可能性はあるわけです。
双竜自動車の親会社であるマヒンドラはインドの国内メーカーでは第2位ですが、近年は外資に押されてシェアを急速に落としています。
インドでは日本のスズキとインド企業の合資会社マルチスズキインディアが53%のシェアを誇り、事実上寡占状態です。
そこに現代起亜車が20%近くと追走していて、むしろ国内大手2社はその煽りを食って経営が悪化しています。
(参考)中央日報 2020/06/16
その影響を受けたのが双竜車であって、結局インドでの日韓の自動車企業の好調が韓国の自動車産業にダメージを与えているということなのです。
韓国GMも資産売却を進め、従業員や役員への賃金や報酬カットを行っています。
ルノーサムスンも直営サービスセンターの閉鎖を進めてコスト削減を試みています。
ルノーサムスンは生産終了した日産ローグの替わりにXM3の輸出生産割当を年末までに受けることとなっていました。
しかしグローバル経済の悪化でルノー自体が大規模な工場閉鎖や人員削減を含むリストラを行っていることから、釜山工場も先行きは不透明なままです。
現代起亜の2強とて輸出が半減し、関連企業も体力をすり減らしている状況で、政府の自動車産業への支援がなければ、韓国自動車産業自体の衰退に繋がります。
自動車産業が韓国では今もなお基幹産業であることは変わりません。
しかし努力不足を理由に双竜自動車が除外される状況に、韓国GM、ルノーサムスンも落ち着かないことでしょう。
双竜自動車に関しては2009年の大リストラ、
これは上海汽車が行ったものですが、この労使問題解決のために復職を政府と連携して行ってきました。
即ち再雇用をしていったわけですが、産業銀行は大幅な人員削減を要求するという何とも矛盾に満ちた状況になっているわけです。
文在寅政権の経済理論を無視した労働者重視が奇妙な矛盾を作ったわけです。
ここで整理解雇した人員をまた将来いつか再雇用するんでしょうか?もはや意味がわかりませんね。
最近では与党が一ヶ月勤務したらバイトでも退職金がもらえる制度を推進していますが、
労働者重視がまたさらなる矛盾を生むことになるかと思います。
急激な最低賃金上昇で韓国経済を大きく歪めた教訓が何もないようですね。それよりも労働者の権利重視。
零細や個人事業主なんてほとんど労働者と変わらない存在だと思いますが、それらの人の首を絞めて何が楽しいんでしょうね。
各種企業の経営を圧迫する政策を打ち出して、最終的に国税でカバーする。
こんなおかしなやり方聞いたことありません。
双竜車に関しても、結局は政府が人員削減など構造調整を阻んできた部分もあったわけですが、それを知らんふりして支援もしないなんて本当に鬼だと思います。
大規模な構造調整を行って赤字体質を打ち破らない限り双竜車の救世主は現れないと思います。
アジア諸国の地元メーカーも技術欲しさに手を出すようなことはもはやしないでしょう。
そういう意味では上海汽車は大成功したんでしょうね。マヒンドラはある意味経営圧迫にまで至って本当に残念でした・・・。
お〆め
そして・・・
もう出しました?