#0072 韓国政府、在韓米軍撤退(削減)と北の強硬姿勢に無策
北朝鮮は、金与正がメディアを通じて韓国国内で脱北者が行っているビラ散布に対して苦言を呈し、韓国に対する圧力強化を示唆しました。
これを軽視していた韓国政府ですが、北朝鮮側は南北連絡事務所の通話呼びかけに応答せず、
全てのホットラインを遮断するなどして韓国政府への不満を露わにし始めました。
(参考)ソウル新聞 2020/06/09
このことを韓国メディアが一斉に報じて韓国国内は騒然となります。
北朝鮮はここぞとばかりに攻勢を強め、南北関係の信頼は失われた。
対米軍事力を増強するなどと挑発的な発言を繰り返しています。
北朝鮮は6月12日に米朝首脳会談から2年が経過したことに対して、シンガポールでの合意も破棄するなどと言及しています。
そうした中で、前の駐ドイツ米国大使リチャード・グレネルが世界的な海外駐留米軍の削減について言及し、波紋を呼んでいます。
ドイツに駐留する米軍を9500人削減という発言に関連し、韓国や日本、アフガニスタン、シリア、イラクも削減すると話しました。
さらには在韓米軍の撤退までありうると発言。
これは米国政府も公式には検討対象ではないとしていますが、少なからず防衛費分断協定の交渉に影響を与えるものと思われます。
(参考)毎日経済 2020/06/12
韓国国防部も削減に関しては米国とは議論していないと明らかにしています。
南北間の緊張が高まる中、米朝の交渉再開の道も見えない状況が続いています。
しかし韓国政府も主体的な動きを見せることができず、南北関係は悪化の一途を辿っていきそうです。
編集所感
その防疫対策も集団感染続発でほころびが見えてきて、結局あの大喜びは何だったのかという状況になっています。
今や韓国は新型コロナウイルスに対して過剰なまでに反応して怯えている国に成り下がっています。
厳格に対応しすぎて過敏になって、経済活動を再び止めようとしています。
話が早くも脱線しているんじゃないかって?
いや、これが今回の北朝鮮への対応と全く同じなんです。
当初金与正が談話を発表し、それに呼応する形で北朝鮮メディアが韓国を非難したとき、韓国政府は全く動じる様子を見せませんでした。
わたしはこれにさすがだなと感心しましたよ。ああやって北朝鮮が騒ぐのは構って欲しいときですから。
どれほど罵詈雑言を浴びせられても脅されても、南北は良い関係にあるという信頼関係に自信があったからか、気にも留めていませんでした。
ところがひとたび南北連絡事務所の通話に反応がないと分かるとメディアが大騒ぎし、さらには全ホットラインが遮断。
韓国社会が急にざわつき始めました。それでも大統領府は沈黙を保っていました。
南北関係が壊れてしまうかもと焦ったのか、韓国統一部はビラ配布をしている脱北者団体を告発すると発表。その後慌てて捜査依頼だと訂正しました。
もう浮き足だってしまっているんですよ。何をどうすればよいのか混乱状態。
大統領府としては北朝鮮を刺激したくないのでビラ配布を止めさせたいようです。
日本大使館前の慰安婦像撤去に対しては「民間団体がやったことなので政府が手出しできない」と言ったにも関わらず、
北朝鮮が騒げば政府が民間団体に捜査の手を入れて止めさせる?
ビラ配布は国内法と北朝鮮との合意。慰安婦像撤去は国際法も関わっているし日本との合意。
あの像は国内法でも問題でしょ?無許可設置だから。
日本政府が慰安婦の抗議集会を止めろと言えば解散させられるのか?
様々矛盾が出てくるわけです。
そして本気で北朝鮮が南北関係を粉々にすると言いだして、それに震え上がって。
で、何をどうするんでしょう?大混乱ですよ。
一方で在韓米軍の防衛分担金交渉も暗礁に乗り上げたまま。
こちらはこちらで米国から増額圧力に続いて削減するとか撤退するなど脅され、こちらでも右往左往が始まっています。
在韓米軍問題は北朝鮮や周辺の地政学とも絡んでいるのだから俯瞰した観点から思い切った決断ができないものでしょうかね?
わたしはここで韓国は中国寄りに舵を切るのも一つの選択肢だと思います。
在韓米軍は削減してその分分担金も減額する。
これは北朝鮮にもアピールできるというわけです。
そして北朝鮮との交渉は米国を無視してもっと大胆に進めて行く。
北朝鮮は現段階で米国と繋ぐよう韓国に求めてこうして騒ぎ立てているわけですから、
北朝鮮の要求にも応え、米国にも応え、そして中国にも応えるような選択をすればいい。
政府が主体性を持ってこの道を行くというのを示さなければ、年がら年中周辺国に騒ぎ立てられて、
矛盾だらけの方針を方々に撒き散らしながら世界を混乱させることになってしまいます。今まさにそんな状況。
自らを良く見せようとフラフラするのはやめて、はっきりさせた方が良いです。
サムスンは米国の要求に応じず中国のために半導体製造を請け負い、メモリ半導体も供給し続ける。
親中の姿勢をはっきりさせて、それでも問題ないのであればG7に行く。
在韓米軍撤退はどう考えてもあり得ないから、削減は覚悟して分担金の増額には応じない。
徴用工問題は慰安婦支援団体の二の舞になるかもですが、基金を作って運用し、日本に責任を求めない。
当然それぞれ正反対の選択をしてもよいですが、はっきりと示さないと全部もやもやなままです。
防疫対策では明確な指針が出せたのに、国際問題ではこのざまというのはちょっとないと思います。
まあ防疫対策は厳密にやりすぎて今やみずからの首を絞めていますけどね。
もう2年なので、文在寅大統領も自分の道をきちんと示し、ここでお得意の頑固さで完徹してほしいものです。
別に突然弾劾されることもないのだから、自分のやりたいことを残りの期間でやり遂げればいいんじゃないでしょうか?
多分それだと経済は更に苦境に陥るだろうけど・・・。