#0069 韓国失業保険積立金枯渇!税金投入も時間の問題!
先月5月には一ヶ月の受給者が67万8000人に達し、支給額が一兆ウォンを初めて超えたと報じられています。
新型コロナウイルスの影響が大きいですが、それ以前から支給額は増加傾向にあるとされています。
(参考)朝鮮日報 2020/06/09
文在寅政権が最低賃金を16.4%引き上げたことで、昨年5月も前年比で25%増加。
さらに今年の5月は31%増加して大台を突破したというわけです。
現在失業給付金の財源である雇用保険基金は赤字が急速に膨らみ、積立金は昨年だけで2兆ウォン以上の赤字。
2017年に10兆2500億ウォンあった基金の積立額はこの3年間で半分近くの5兆1600億ウォンにまで減少しています。
(参考)毎日経済 2020/06/03
雇用保険の加入者は増加傾向にありますが、部門別では製造業の加入者が著しい減少を見せています。
これを受けて韓国政府は第3次補正予算で失業給付基金に国税3兆4000億ウォンの投入を策定。
1次補正と本予算、そして今回の補正を合わせて4兆5千億ウォンを投入し、基金の破綻を防ごうとしています。
しかしこれは公平性を欠くものだとして批判を受けています。
さらには雇用を55万+α送出するために3兆6000億ウォンを投入するとしています。
韓国の国会では一ヶ月以上の勤務労働者に対しても企業が退職金を支払う法案を与党が提出していますが、企業を苦しめる悪法だと指摘されています。
感染症が経済に傷を負わせている状況で、企業への負担をさらに強めることで、より悪い循環が生まれるのではという懸念が出ています。
編集所感
基金はそもそも感染症とは関係なくこの2年間で大幅な減少をしているわけですから、政府の政策に問題があると言えるでしょう。
2年で約半分ですよ。ちょっと信じられない数字ですよね。
このペースで行けば単純計算でもう2年放置すれば破綻するというわけです。
ある野党議員の推計によると、この年末にも枯渇すると指摘しています。
大げさな試算だと思いますが、それくらい厳しい状況だということでしょう。
この試算には今回の3兆ウォンを超える税金の投入は含まれていないようなので、税金緊急投入は一つの有効な対策のようですね。
国税を直接投入するというのはある種の裏技だと思います。褒められたものではないでしょう。
そうならないために日本でいうところの雇用調整助成金。
即ち解雇や雇い止めをせず、社会保険料を払い続ける代わりに政府が賃金の一部を補償するという制度があるわけです。
これには国税が投入されますが、雇用保険基金の健全性を保つためにこのような回りくどいことをやるわけです。
韓国にも同様の雇用維持制度はあります。それが幾分機能して、5月の新規失業保険申請者数の増加幅は抑えられたようですから。
それでも韓国の場合は焼け石に水で、これでは全く基金の健全性が保てず、結局直接税金を注入する結果となったわけです。
根本原因は何も解消されていないので、いずれ、極めて近い将来再び同様の状況になるでしょう。
大勢の加入者が保険料を支払い、少数の失業者がその恩恵にあずかるというのが雇用保険の仕組みです。
この構図が2年前から崩れていて、今もなお改善させることができず、放置されているのです。
就業者数の分布を見てみると、輸出が停止した影響で製造業の失業者は多いようです。これは仕方がありません。
さらには20代や30代の若者の雇用が大幅に失われているということです。
これは韓国の長年の課題で、文在寅政権も若者が地方に就職したら所得税免除や多額の補助金などを支給する制度で後押ししましたが、全くの失敗でした。
雇用創出として毎年日本円で数兆円投じましたが、これといった効果は得られず、結局雇用を作るのは民間企業であるという結論まで出していました。
ある程度失敗を認めるのが独裁国家との違いではありますが、それでも言い訳はちゃんと用意してあって、
気候のせい、人口構造のせい、そして前政権のせいだそうです。まったく・・・。
雇用保険基金が相変わらず危機的状況なので、長期化はもちろん避けなければならないですし、これとは別の大量失業危機にも備えなければなりません。
造船の方は何とか受注があってしのいでいるようですが、自動車は国内の部品工場などが悲鳴を上げて倒れていっているようです。
業界が再編を余儀なくされることとなって、それによる大量失業が続けば一巻の終わりです。
韓国は脱原発で関連企業が悲鳴を上げ、旅行関連も悲鳴を上げ続けている状況で、世界が感染症から立ち直らなければ総倒れする可能性もあります。
文在寅大統領の雇用政策には賛否がありますし、考えとしては正しい物もあると思います。
ただ、韓国の実情に合った政策を適切な時期に選択していくという観点があまりなく、
理詰めでドンドン行っていくので、それがこうした悲惨な結果に繋がったのだと思います。
支持母体の一つである労働団体の声に耳を傾けすぎて、企業や一部の事業者などを疲弊させているのが問題ですね。
理想はいいんですよ。今もフリーランスやアーティストを救うために彼らも雇用保険を受けられるようにしようと制度改革に乗り出しています。
でもちょっと待って!その雇用保険基金が崩壊寸前なのに、受給対象者を増やしてどうするの?
なんなんでしょう。この人ってあまり全体が見えないのかな?
最低賃金を急上昇させたときも、これで低所得者層の生活が劇的に楽になると信じていたと思います。
結果は中小零細が人件費高騰で苦境に陥って、低所得労働者を切り捨てざるを得なくなりました。
一国の大統領なんだから、明るい面だけではなくて、それによって何が起きるのか、そのための対策をどうするのか、という準備までしてから進めないと。
日本との外交も全く同じで、ヒステリックな報復措置を繰り返して両国関係をひたすら悪化させています。
世論は気にしないといけませんけど、直接選出された大統領なんだから、もっと大きな目で現在と未来を見据えて欲しいものです。
韓国国民も防疫対策だけで評価していたらダメですよ。
あ、今は支持率下落中ですか。
それって慰安婦団体擁護ででしょ?
お〆め
あとは若年層の就職難も長年続いていて、失業率が10%程度が続いていたんです。