#0038 どうなる?韓国自動車業界、労組異例対応で賃金交渉妥結!?現代起亜車、韓国GM、ルノーサムスン、双竜の現状
国内最大手の現代自動車の賃金交渉は昨年9月にストライキを行わず早々に妥結しています。
早くも今年に向けての動きを見せていて、この苦境の中ではドイツ式危機突破解決法をモデルとし、労働者・使用者・政府が一致協力して雇用を守るべきだと主張しているそうです。
賃金を凍結とする代わりに雇用を維持すべきとしたドイツの労使危機協約に注目すべきだとしています。
こちらは労組情報誌に提言として掲載されたもので、まだ実際には使用者側に伝えられていないようです。
(参考)朝鮮Biz 2020/04/17
起亜自動車は1月半ばに妥結にこぎつけていました。
基本給4万ウォン(約3500円)の引き上げと成果給と激励金150%+320万ウォン(約28万円)の支給。
使用者側が社内福祉基金10億ウォン(約8800万円)の出資、連休のための休業調整、残業関連労使共同タスクフォースチームの運営も盛り込まれました。
日産ローグの生産終了で釜山工場が存続の危機に陥っていたルノーサムスン労組は妥協的妥結に達したとされています。
基本給を凍結する代わりに、新車XM3販売成功激励金200万ウォン(約18万円)、一時補償金888万ウォン(約80万円)、
さらに賞与基礎額の5%を毎月貢献手当てとして支払うなどの内容で合意したようです。
ローグ終了で輸出割合の高い釜山工場の稼働率低下が問題となっていて、今後生産割当てが受けられるかが注目されています。
(参考)中央日報 2020/04/14
韓国GMは自社車両購入時に利用できる100万~300万ウォン(約9万~27万円)のクーポン支給で妥結したと報じられています。
労組が主張した基本給引き上げ、ボーナス、一時金支給は含まれなかったようです。
こちらは米国への輸出依存度が高く、今は新車販売できるような状況ではないことから、雇用維持を優先させたものと思われます。
(参考)ソウル経済 2020/04/14
経営危機に陥っていた双竜車は、インドの親会社マヒンドラによる400億ウォン(約35億円)の緊急資金投入が報じられ、踏みとどまることが決まったようです。
しかし韓国政府としては追加融資に関して消極的で、マヒンドラ事態も経営不振に悩まされていることから、これは一時しのぎに過ぎないという見方が出てきているようです。
編集所感
そんな中で、昨年から続いてきた労使間の賃金交渉が次々と妥結を見せ、一通りの落ち着きを取り戻したというところです。
この状況で双方とも無謀なことはできないというところでしょう。
全体として使用者側からすれば、ある程度のところまでで主張を抑えられたということでしょう。
早々に妥結した現代起亜車とこの状況でも主張を通したルノーサムスン。一方で韓国GM労組はほぼ大敗といってもよい状況です。
現代は8年ぶりにストライキがなく妥結し、生産への影響はありませんでしたが、起亜、ルノーサムスン、韓国GMはストライキによって生産への支障が発生したようです。
これは毎年のことなのである程度は織り込み済みなんでしょうね。ルノーサムスンはやや過度だったように思いますけど。
ある種パターン化していて、ストライキを行いながら可能な限り要求を通していくという感じです。交渉術としてはもっともな戦略なのでしょう。
全面ストライキや部分ストライキを繰り返すほど交渉が激しいです。遠くから観ればそれが業績に悪影響を及ぼしていると思いますが、それがいやなら条件を飲めということなんですよね。
使用者側としてはストライキに屈しない姿を見せて交渉を優位に進めようとするのですから、無駄に生産性を低めていると思います。
その、外野から見れば労組は矛盾した行動だと思えるかもしれませんが、実際に労組の中で戦っている人からすると論理的ではあるのだと思います。
変わった見方だとか左寄り?だとか思うかもしれませんが、皆さんも横暴な経営側と戦う場合は似たような戦術になると思います。
過度な要求に見えるかもしれませんが、戦いを繰り返す中で経験則として得られたものだと思います。
ちょっと持ち上げましたが、労組側も変わらなければいけないと考えています。ちょっと古くさい体質になっているのではないかと思いますね。
かつては情報公開がなく、放漫経営をしていても目に見えないので、そうした前提の下に激しい要求が行われてきたのだと思います。
情報が開示されないので経営側が嘘をついていて搾取されても分からなかったわけです。ならば労組側も大きく出るしかない。
しかし今や時代は変わって経営の透明化が進んでいて、社外の人ですら数値的状況を見ることが出来るわけです。
ならば労組側もそれに基づいた要求をすべきですが、それを大幅に踏み越えて要求するため双方が疲弊するような交渉が続けられるわけです。
提示されたデータを疑い始めたらキリがないのですが、それを捜査された数字だとか見せ方を変えているなどと陰謀論めいたものを言い始めて態度を硬化させるのでますます難しくなるのです。
現代自動車が8年ぶりにストライキなしの妥結に至ったのは、そうした時代の流れを感じつつあるのではないかと評価しますね。
韓国GMに至ってはほぼ一年を要してストを繰り返してあの結果。
5年間で4兆ウォン(約3500億円)の赤字を経験して工場も閉鎖しているくらいなので自重が必要と思います。
労組側も経営が見える時代ですから、少しは経営者目線を取り入れて交渉してはどうなのでしょうか。
横暴な経営者が立場の弱い労働者からとことん搾取する。今はこういう時代ではありません。
確かに経営側は様々な理由を押しつけて人件費を抑制しようとするのでそれに団結して対抗する必要はあります。
誰しも経営に回った時にその苦労に初めて気付くのでしょう。
労働者の権利は尊重します。
それでもどんなに経営が苦しくても毎年昇給と賞与を受けるのが労働者としての当然の権利という考えは捨てて、労使一体となって長期的な成長を共に出来るモデルを模索すべきです。
今年ももうすぐ労使交渉が始まりますが、より一層厳しくなることでしょう。
現代車労組が主張するように、雇用維持が最優先課題となるかと思います。
お〆め
手放してどこかが買いますか?
そんな時期におまけのような韓国の子会社にこれ以上の大金を投じるのは無謀だと思いますね。
そして・・・
でもOKが出ているから余計なことしないんでしょうね。別に追加請求出来るわけでもないから。