あつまれ！しらゆき姫のてんこ森

第092話しらゆきさんとワインの思い出

（し）昨日はお料理教室のお話だったね。

（ゆ）いい思い出じゃなかったようだね・・・。

（し）今日はもうひとつ教室に行ってたときの話。ワイン教室っていうのに行ってたんだー。

（ゆ）教室なの？ワインの勉強？

（し）教室というより、ワイン同好会って感じかな。ワイン好きの40代の独身女性が講師でね、2ヶ月に1回だけ開催されてた。

（ゆ）へぇ、わたしの姉もそんな感じのに昔行ってたような気がする。

（し）ワインは別に好きじゃないし、興味もないんだけどね、友人に誘われて面白そうだから行ってたの。

（ゆ）わたしも。まあお酒全般、よくわかんないんだよね。覚える気もないし。

（し）場所はね、小さなフランス料理のお店でね、フルコースが出てくるんだ。ワインはその女性が選んで10種類くらい用意されているの。

料理を食べながら、その10種類のワインをひとつずつ丁寧に説明されながら飲むんだよ。

（ゆ）10種類ってちょっとずつ？

（し）そうだよ。どこの地方で作られたもので、どんな味がするワインなのかって聞きながら飲むとなんか美味しく感じるんだよね。

（ゆ）へーっ、飲み比べたら違いがわかるのかな？

（し）わかる気分になるよ。だいたい20人くらい参加してたの。40代から60代の年上の人たちが多かったなぁ。

パーティーは苦手だけどね、これは落ち着いた雰囲気で、人が話しているのをみんな静かに聞きながら飲んで食べているだけだから居心地よかったなー。

これは2年くらい通ってたかな。2ヶ月に1回だったし。

ところがね、主催者の女性がこのワイン教室に来ていたさえない男性と結婚することになって突然ワイン教室終わっちゃったんだ。

（ゆ）うわっ、そういうオチ？講師の婚活だったんじゃないの？

（し）うーん、それがさあ、綺麗なお姉さんって感じの女性なのに、選んだ男性が本当におしゃれ感ゼロで背がわたしくらいでぼそぼそと話す人だったんだよ。

最初に結婚するって聞いたときは、「え、どうして？何か弱み握られたんじゃ・・・」って心配したもん。

あ、だけどその人ワインについては誰よりも知ってて、その女性よりも詳しかったなー。あと二人ともすごいネコ好きだった。

（ゆ）共通点かぁ。それときっと他の人には分からない魅力がたっぷりだったってことだよ。

（し）今でもこの夫婦とは年賀状のやりとりあるんだよ。

でも結局ね、ワインについてはひとつも覚えられなかったし、興味もわかなかったな。

（ゆ）そもそもの興味がないとねぇ。わたしもビール以外は全然違いを覚えられなかったよ・・・。

（し）でもこれはタイ料理教室と違って損した気分は全くないよ。楽しかったなーって思い出。

（ゆ）まっ、それはそれでいいんじゃない？

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