#153 中国のRCEP参加、TPP参加意向表明は米国への経済戦争宣戦布告と勝利宣言だ!
今回の3行まとめ
- 中国がRCEPに続きTPPにも参加?
- 米国の自国主義への対抗と影響力増加の狙い
- TPPへの障害と克服の覚悟
(参考)読売新聞 2020/11/21
TPPは当初日本と米国が中心となり、中国を排除する環太平洋地域の経済連携でしたが、トランプ大統領就任後に米国は撤退を表明。
日本は残りの10カ国と交渉を続け、2018年1月に合意に辿り着きました。
その後米国への参加を求めていますが復帰せず、バイデン次期大統領も具体的な再交渉についての道筋は示していない状況です。
そんな中で習近平国家主席は積極的に参加を検討するとして、アジア太平洋地域での存在感を高めたいとしています。
つい先日15カ国がRCEPに署名したばかりですが、中国はさらにこのTPP参加によって米国の参加しない経済協力圏で主導権を掴むのが狙いとされています。
トランプ政権が自国主義を前面に押し出したのに対し、中国はあくまで多国間主義と自由貿易を掲げて違いを鮮明にしています。
しかしRCEPが物品の取引に焦点を当てているのに対し、TPPはサービスやハイテク、知的財産、データフローなどの新分野も多く含みます。
(参考)読売新聞 2020/11/22
これが大きな障害になると考えられていますが、中国側はTPP基準に近付いているとして、前向きに捉えているようです。
(参考)鳳凰網 2020/11/21
中国もすぐに参加できるというわけでなく、数年間の交渉を経ての参加と見ているようです。
バイデン次期大統領がアジア回帰を唱える中で、中国としては米国が中国の重要性を再認識すると共に、米中関係の改善に期待しているようです。
編集所感
今回の概要!
- 中国の米国への経済戦争宣戦布告
- 反中ネットワークは夢想に終わる
- 反中国への日本の立場?役割?
トランプ政権は次の4年で対中国ネットワークの構築を考えていたことでしょうが、それがバイデン次期大統領にどこまで継承されるかは見えません。
バイデン次期大統領のアジア重視という方針から考えると、少なくともトランプ大統領が描いたものとは大きく異なると予想されます。
トランプ政権下で米国が自国優先を進める一方で、中国はそれに対抗するように開かれた経済を主張し続けました。
米国が各国や多国間の協力関係に消極的な姿勢を見せる中で、中国は特に貿易面では存在感を増してきました。
米国が手を引いた部分に中国が入り込んでいく。そのような戦略であり、今回のTPP参加表明はその最たるものでしょう。
米国が中国への批判と制裁的な関税を賦課を強め、通信機器の排除や中国排除のクリーンネットワーク構想など、脱中国の未来を鮮明に示しました。
しかし今回の落選でそれは完成を見ないということになりそうです。
中国がこうした経済連携において存在感を示していく姿勢は、経済面で米国に宣戦布告したと言っても過言ではないと思います。
もっと分かりやすく言うなれば、中国は経済では米国に対抗し、勝利できると考えているのでしょう。
トランプ政権では中国に対して真正面からぶつかり、出る杭を力の限りたたき込んで抑えてきました。
しかし中国はそれを何とか耐えきったと言えますし、経済における中国包囲網は緩みを見せるでしょう。
バイデン政権下ではそのような強引な押さえつけは行われないと思われます。恐らく経済面では米中の関係修復に歩を進めるでしょう。
米国が経済に於いて中国に屈するかどうかは別の話としておいて、少なくとも中国は今以上の存在感を示し、目標を達成すると思われます。
中国が経済面で仕掛ける米国への宣戦布告は、中国の目標達成による勝利になると考えてもおかしくはないでしょう。
中国のこうした動きに対して日本が歯止めをかけるかというとそうはならないと思われます。
日米同盟はそれはそれ。日中関係改善と経済連携は促進していくと思われます。
これは安倍政権がどうだとか管政権になってどうだとか、将来的にどうなるとかはほぼ関係ないと思いますね。それが現実の日本の対応です。
読売新聞なんかはちょっとした中国への警戒感を見せようと、見出しには「日本、経済連携ジレンマ」なんて書いていますが、そんなものほぼないでしょう。
日本はそもそも自由貿易強化が既定路線で、そこには同盟国だとか反中国だとかいうものは存在しません。
せいぜい北朝鮮への制裁くらい。あ、韓国にもちょっと辛く当たったか。
安倍政権も管政権もその路線で、自由貿易が促進され日本経済の活性化に繋がれば、相手が誰であろうと基本的に構わないというわけです。
新型コロナによって経済が大きな打撃を受けた今となっては、その傾向はより一掃強まっていると言えるでしょう。
中国排除のネットワークは所詮非現実的なものに過ぎず、そもそもそれが理想的と考えているのは一部の極右だけです。
まあ、わたしみたいなね。あ、これ言うと極右の人には叱られるか。そして一方で経済通からは経済音痴と罵られるわけです。
実際ビジネスの世界で戦っている人は現実主義であり、利益優先主義ですからね。わたしはそれを咎めるつもりはありません。
わたし、自称極右だけど他人様の意見に対してはかなり寛容な方だから。
わたしがこうして非現実的と表現した対中政策を真っ向から取り組んだという点でわたしはトランプ政権を評価しています。
理屈もやり方もデタラメだったけど、デタラメ国家にはデタラメトランプ政権が丁度良かった。
バイデン氏は多国間連携と人権問題追及などで中国を抑え込むと言うけれども、その方法で今の膨張と増長を続ける中国を抑え込むのは不可能だと思います。
お〆め
まだ参加してないけどね。でも参加すると乗っ取って支配的な立場を取るかもしれないね。
そんなことは言ってない。ただ、世界征服の定義をどうするかはさておいたとしても、経済面での支配力は高まるでしょうね。
現代のシルクロードを作るのが一帯一路構想ですが、環太平洋を牛耳ることが出来れば、それもまた中国にとっては大きな収穫でしょう。
それよりも今はコロナから立ち直ることが優先ってところで、将来的な明確なビジョンもないんじゃない?