#0086 韓国の最低賃金25.4%増を支持します!どうなる韓国経済?日本も参考にする機会に・・・
韓国最大の労働者団体となった民主労総は、現在の8590ウォンから25.4%の引き上げ、時給1万770ウォンを主張しています。
一方で民主労総と勢力を二分する韓国労総は、感染症によって経営が苦しい状況にあるとして、1万ウォン以上に上げるのは経営への影響が大きいと判断。
明言はしなかったものの、国民目線を考慮し、独自調査に基づくとして、6.6%引き上げ。
即ち9157ウォン前後を検討していると予測されています。
使用者側は、今はIMFに匹敵する危機的状況だとして凍結、即ち上昇なしを主張しています。
労働者団体の意見が相違している間は使用者側や政府側としては、労働者側が意見をまとめないと議論ができないという態度を取っています。
労働者団体は、7つのうち3つはある程度意見をまとめられたとしています。
韓国の最低賃金委員会は、公益委員9人、2つの労総から任命された労働者委員9人。
使用者団体が推薦した使用者委員9人で構成されます。
委員長と副委員長は公益委員から選出されますが、公益委員は政府が推奨している専門家や大学教授のため、大統領の意向に沿うような形になっています。
政府側からは関連部門の局長級3人が特別委員として参加しますが、議決権はなく、実質上労使間の交渉で決定されると言えます。
文在寅大統領は選挙公約として、3年で1万ウォンを掲げていました。
就任した2017年は6,470ウォンでしたが、2018年には16.4%上昇の7,350ウォン。
翌2019年には10.9%増の8,350ウォン。
(参考)最低賃金委員会 会議の結果
しかし3年目は、前の2年の急激な引き上げによって中小企業が打撃を受けたことを考慮し、
IMF直後の水準と同等の2.9%増、8,590ウォンにとどまりました。
文在寅政権としては、昨年公約を守れなかったこともあって、来年の最低賃金を1万ウォンに乗せたいという狙いがあるものと思われます。
編集所感
地域によっては2倍近くに跳ね上がるということですが、こんなことしたら地方経済が吹き飛ぶのではないかと思います。
日本は極めて低水準の引き上げが続いていて、これが慣例となっています。
低水準の引き上げがデフレ状態が続いている一因ともされていて、引き上げ率の低さが、実質賃金上昇を妨げているとも言われています。
最低賃金についてはそもそも不要という主張もありますが、これについては今回は触れませんん。
ノルウェーやスウェーデンなど北欧地域では最低賃金はありません。
最低賃金の引き上げについては、基本的にはわたしは慎重派です。
最低賃金上昇はもちろん労働者にとっては有益ですが、世の中の仕組みはそれほど単純ではありません。
急激な引き上げは中小零細企業には重くのしかかり、経営破綻を容易に招きかねないからです。
実際に韓国では飲食業を中心に急激な引き上げがあった2年間は破綻した事業者が急増しました。
もしくは雇用を維持せず、店主の労働時間が増加するといった現象も起きています。
また、こういった中小零細にアルバイトとして勤めていた従業員は雇用を失う結果となり、低収入世帯がより一層苦しくなるという自体も引き起こしました。
結果として韓国では賃金格差が広がるという事態が起きています。
これは果たして文在寅大統領が目指していた社会でしょうか。
もちろんこれは負の側面をクローズアップしたといえばそういうことになります。
一方で中企業の従業員は賃金が大きく上昇し、生活にゆとりができたとされています。
最も企業側にそれに耐えうる体力があった場合の話でもあります。
最低賃金を10%上昇させた時、全体の賃金上昇は1%程度で物価もほとんど引き上がらないという研究結果もあるようですが、これは少し暴論だと思いますね。
韓国では最低賃金が上昇しても雇用は減少しないという反論も出ていますが、韓国のこの数年間を見て下さいと言いたくなりますね。
タイトルにもあるとおり、わたしは今回民主労総が主張する25.4%引き上げをやってみてほしいです。
実際にどのような影響が起こるか社会実験として見てみたいものです。
条件に様々違いはありますが、日本にとっても非常に参考になると思われるからです。
これまでの文在寅政権の急激な引き上げを見て結論は出ていると思われる方もいらっしゃるでしょうが、更なる大幅な引き上げによって巻き起こる現象を観察したいのです。
日本共産党だってそう思っているでしょう?きっと。これでコケたら少し静かにしてほしいです。
うまく行けばこれに乗じて大騒ぎすればいいじゃないですか。
文在寅政権としても、感染症による経済状況の悪化は予見できなかったものとしても、
今回1万ウォンを逃して再来年に達成となれば、保守系候補と同じになってしまい公約が霞んでしまいます。
それもあって、25.4%まではいかないにしても、1万ウォンには乗せてくるのではないかというのがわたしの予測です。
こんなの誰でも考えますよね・・・。
1万ウォンですと16.4%上昇で、1年目と同じ水準ですね。これなら不可能ではないでしょう。
この最低賃金委員会も結局のところ労使間が合意することもなく、最終的には投票になるわけです。
労働者側9人、使用者側9人。政府の息のかかった専門家達である公益委員9人なわけですから、結局は政権の思うがままになるということです。
投票に至るまでにどう取りまとめるかが焦点に過ぎないわけです。
6月29日が最低賃金審議法定期限となっているようですが、例年これは守られず延長となります。
最終的には7月15日までに決定を下せば8月5日の告示期限に間に合うということですからね。
日本でも最低賃金について議論が始まっていますが、大幅引き上げはないように思われます。
だからこそ韓国に期待です。
お〆め
答えありきでそれに沿うようなデータを集めたり集計したり。
それを理解した上で考えを偏らせず、惑わされずに真実をどうつかみ取るか。それが社会を生きる上で常々求められていることです。