#0082 韓国失業保険が年内に枯渇!衝撃の政府発表に対策は?
韓国の失業保険の財源である雇用保険基金が文在寅政権になって急減し、この3年で半減したともお伝えしました。
これは文在寅政権と政府与党が雇用保険の対象を拡大しているからです。
当然収入も増加していますが、経済政策の失敗や景気の悪化もあって支出増加も大きいです。
雇用保険基金は2017年には10兆ウォンを超える金額でしたが、2018年には支出が2兆ウォン以上増加して約8000億ウォンの赤字。
2019年にはさらに支出が2兆ウォン増え、それがそのまま赤字となっています。
2020年5月の時点で新型コロナウイルス流行の影響で既に赤字額は2兆ウォン近くとなり、基金は5兆ウォンにまで目減りしています。
先日野党議員が試算結果を発表し、このままでは年内にも基金が枯渇すると警告しました。
しかしこの試算は文在寅政権が先日の補正予算で行った公的資金管理基金、これは公共事業に活用するために積み上げたお金ですが、
ここから3兆1000億ウォンを雇用保険基金に割り当てる基金救済策は計算に入っていませんでした。
雇用保険基金はこれ以前にも約1兆5000億ウォンの補填が行われています。
(参考)朝鮮日報 2020/06/09
しかし今回の政府のデータでは、これを含めても年内に基金が枯渇するというもので、事態の深刻さを示しています。
(参考)韓国経済 2020/06/23
政府雇用労働部によると、今年の雇用保険支出は失業の増加から21兆ウォンを超えるとされていて、これは昨年よりも7兆5,000億ウォン増加した数字です。
2017年基準ですと2倍以上になります。
今回も野党議員が発表しましたが、データは直接政府機関から受けたものとのことで、信憑性が高まってきました。
このような状況にも関わらず、政府と与党はさらに雇用保険の対象を増やす法案を可決させ、最終的には全国民の雇用保険を目指しています。
編集所感
2017年までは黒字で基金は増え続け、10兆ウォンを達成しましたが、それ以降は減少を続け、年末にはわずか2000億ウォン弱になるということです。
これは、4月の雇用状況が続いたと仮定した場合です。なので雇用が回復すればこの限りではありません。
収入が増えているのは雇用保険対象を拡大したからですが、支出もそれに伴って増えています。
支出が増加した理由は失業保険対象の拡大だけではなく、給付額を退職前の3ヶ月の平均額の50%から60%に引き上げたことや、
支給期間を240日から270日に増やしたことも響いているという事ですね。
政府の当初予測した支出額は約14兆ウォンで、さらに赤字幅が拡大することとなります。
しかし2023年には黒字化するだろうという予測が昨年末韓国労働研究院が発表した
「2019~2028年8大社会保険財政展望」には書かれていました。
先日はいわゆるアーティストを雇用保険の対象としたことで、5万人がさらに対象となりました。
今度はドライバーなどの特殊雇用労働者も加入させるとしていますね。
良い意味では理想に向かってまっしぐらではありますが、足下の現実を見ているとは思えませんね。
政府や与党はこれから雇用状況が改善されるので危機は起こらないとでも言いたいんでしょうかね。
日本でいう特別定額給付金。これを韓国では緊急災害支援金と呼びまして、制度としてはほぼ同じです。
で、韓国の場合は受取を拒否した場合、寄付されることになっています。
寄付と言っても結局は国庫に戻るようなので名ばかり寄付ですが、なにかメリットがあるんでしょうか?
政府が少し期待をかけていて、これが2兆1000億ウォンに上るだろうということだったのですが、
残念ながら期待の約100分の1近くにあたる、282億ウォンだったようです。
(参考)韓国経済 2020/06/15
2兆ウォンのあてが外れたわけですから、計画に大きな狂いが生じたという事ですね。
韓国では大企業が政府系金融機関より緊急融資を受けたり、各種業界では倒産や経営断念、工場閉鎖などの噂も絶えない状況です。
このままでは昨年雇用保険比率を引き上げましたが、さらなる引き上げも検討せざるをえないです。
これは加入者と事業主双方への負担増になり、また苦しい状況が続く企業経営を悪化させかねません。
文在寅政権誕生前の2017年に枯渇が懸念された健康保険は比率を上げたからか、黒字になると見込まれているようです。
一方でその時に2020年以降に赤字になるとされていた雇用保険は2018年にはすでに赤字に転落したわけですから、政策の問題が指摘されるところです。
雇用保険加入対象の拡大は、景気が良くて雇用が維持され続ける状況なら収入増に繋がるはずですが、韓国はここのところ景気不振でそれどころではないわけです。
理想はいわゆるフルタイムの従業員以外。自営業者やフリーランス、アーティストなども含めたいということのようです。
これを発表したのが5月の就任3周年記念演説なんですが、これまでも景況感を見ずに範囲拡大を急進したため、失策と化しているかと思います。
この状況で韓国政府は雇用を維持する企業への支援金。これはそのまま雇用維持支援金という名称のようです。
日本でいう雇用調整助成金ですね。
制度としてもほぼ同様で、やむなく従業員を休業させた場合、国が休業手当の一部または全部を支給するというものです。
こちらには堂々と税金をつぎ込めるので、これで雇用を維持したいというのが政府の考えでしょう。
日本と同様に手続きが煩雑で、これをあきらめて事業をたたんだ事業主も多いことでしょうけど・・・。
こうした制度で失業を防いでいますが、これも当然国税が使われるわけで、感染症関連で本当に財政も苦しいことと思います。
韓国は今回の補正予算でさらに赤字国債を37兆3000億ウォン発行するとしていて、これで今年の国債は97兆3000億ウォン。
昨年の3倍以上ということですね。これでしのいでいくようです。
韓国の国債金利は3月時点で1.3%後半とやや高め。
3月以降に二度基準金利を下げてこれですからね。これで追加発行となると、もはや韓国銀行が買い上げるのを期待するほかないと思います。
今回はこの雇用保険基金の枯渇、韓国の雇用状況、そして財政懸念と赤字国債による更なる金融不安、この4つに注目しておきましょうということです。。
お〆め
一部の専門家や政治家がMMT、いわゆる現代貨幣理論に則って国債を発行しまくっても問題ないと主張するくらいですから。
ただ、将来性が低い国の国債は売れないんです。
ユーロ離脱が囁かれた時期のギリシャ国債なんて40%近くになりましたから。
あと、カウントアップもあったりしますから。そもそも崩壊なんとかとか言うのはゴミニュースの煽りに過ぎません。あれらが騒いでも崩壊しないし。