#0081 韓国化学工場また火災!安全対策にさらなる疑問!
麗水の工業団地に入居する三南石油化学の工場で、6月22日20時27分頃、ボイラー室で爆発音が発生し、火災が起きたということです。
この火災で石油など油類5トンが消失し、被害額は4億ウォンにも上ると推算されています。
消防や警察職員など380人とポンプ車7台を含む消防車25台が動員され、2時間半ほどで鎮火したということです。
(参考)MBC 2020/06/23
この辺りの数字は報道各社バラバラですね。
工場側の発表によると、最近ボイラーのバーナーを交換し、その試運転を行う過程でオイルが漏れて火災が発生したのではないかとのことです。
警察と消防はこれから被害規模の把握と火災原因を調査するとのことです。
麗水市は全羅南道の東南。朝鮮半島南の先端付近に位置している人口30万人弱の地方都市です。
国内最大級の国家産業団地には石油化学工業を中心に多くの企業が入居していて、これが地方経済を支えています。
この工業団地のおかげで地域内総生産、GRDPは全羅南道全体の3割近くを占めているようです。
そんな化学工業団地におんぶに抱っこの麗水市ですが、この工業団地では度々事故が発生しています。
6月3日には団地内の生産設備新設工事をしていた作業員が転落死。
作業当時、落下防止安全ロープを接続せずに作業をしていたとされています。
昨年12月22日には火力発電所で火災が発生し、消防車16台が出動する騒ぎとなりました。
この時は有煙炭を移動させるベルトコンベアで火災が発生したとのことで、人命被害はありませんでした。
編集所感
テレフタル酸(TPA)という物質を専門に生産しているメーカーで、主にペットボトル、フィルム、工業プラスチック、衣料などの原料になるそうです。
この工場だけで年間150万トンという生産能力があり、これはほとんど輸出されていると思われます。
中堅ですが、この2年間の決算を見ても好調のようですね。
ホームページを見れば安全対策も行っているということで、単体で見ればそれほど危険な感じではありません。
ただ、何せ韓国自体こうした工業団地。韓国では産業団地と呼ぶ方が一般的なようですが、ここでの事故が多いもので、どうしても多いというイメージがつきまといますね。
報道では6月初めにも転落防止ロープをせずに作業して転落死が起きたということです。これはもう掛ける声がありません。
工事業者の安全対策ってどうなってるの?
あれ?調べてみると錦湖B&P化学という会社でも2月に転落防止装置を付けずに作業していて作業員が亡くなっているじゃないですか。
この人は触媒の中に転落してしまったらしく、安全装置は本人が暑いからと外したとか。
何これ?報道によると、転落後2時間救急などには連絡せず、しかも事故当初は安全装置をしていたと発表?
結局手遅れになって亡くなったようですね。
事故直後には20件の産業安全保護法違反で摘発。
6月の調査後は工場長、法人、下請け会社社長を起訴。
まあこういう人たち、韓国を代表する企業がこのような安全対策レベルなんですよ。
ちなみにここには新日鐵が出資しているとか。
こうして色々と見ていると、今回の火災が本当に小さなミスで小さな被害で終わっただけなのかというのも疑いたくなりますね。
麗水のような国家指定された団地は住居エリアとは距離が開いているそうなんですが、指定されていないところは街中にあるそうです。
地域としては稼ぎ頭なので大きな声を出せないのかもしれませんが、これではちょっとね。ハッキリと声を上げるべきだと思います。
つい先週には近隣地域と合同で行われた協議会で「今年は化学事故のない元年になるように努力する」と言ったばかりでこの火災事故。
住民だったら呆れてしまいませんか?
化学災害合同防災センターなるものがあるそうですが、本当に機能していないようですね。
もうどうしようもないんでしょうが、安全対策=費用対効果悪化という方程式をいつまで採用しているのかと思います。
この錦湖何とか、略してKPBだそうですが、ホームページだけですね。いかにもな事が書き並べてあって、全然やってないという。
最初の火災事故を起こした三南石油化学もどうせこうなんだろうなと思ってしまいますね。
どちらも寡占状態で、経営状態も悪くないからおごっているのかなんなのか分かりませんけど、もう少し本気で安全な優良企業を目指して欲しいものですね。
韓国政府も事故連発の朴槿恵政権時に色々と厳しくやるとかいって法整備をしましたけど、実際現場では守られなかったとか。
そうはいっても、きっと何年もかけてほんの少しはまともになっているんだと思います。これでも。
その当時の話では、大企業は守るようになって、安全表示とか色々徹底されてるそうなんですよ。
ただそれが下請けの現場監督とか、更にその下請けに行くと、結局のところ現場レベルでは何も変わらないということのようなのです。
それが今も脈々と伝統のように受け継がれ、こうして事故を起こして世界から嘲笑されることになるんでしょうね。
雇用統計のように、安全関連の統計も見える化して、どれだけ安全意識が不足しているか、改善していったかを分かるようにした方がいいんじゃないですか?
それをやったら業界のイメージが悪化しますか?国のイメージが悪化しますか?
それは順番が違うと思いますね。
毎回毎回事故が起こる度に何かしらちょこっとやって形骸化を繰り返さないように、事故情報を公表して、国として取り組むべきだと思います。
経営者も労働者も問題があるということは国の問題ですよ。
本当にこの国は良くなろう、改善していこうという意識はないんでしょうかね?
あくまで目先の利潤追求ですか?
お〆め
面倒だけど総合的な結果のためにやる。これが真っ当な生き方です。
そして・・・
行きたければパラシュートで不時着してみればいい。