#0071 韓国国内自動車工場閉鎖!リストラの嵐吹く自動車業界!
通称大宇バスは蔚山工場の稼働を15日から停止すると発表し、事実上閉鎖することを明らかにしました。
1955年に米軍整備倉を払い下げて新進自動車工業として自動車製造業を開始。
破産後は1978年には大宇グループに買収されて大宇自動車として生き延びましたが、その大宇グループが2002年に崩壊。
バス部門を永安帽子が買収してザイル大宇商用車として韓国のバス業界を支えてきました。
2003年から海外に工場を展開。2007年には釜山にあった2つの工場を現在の蔚山に移転統合。
しかし2013年の3900台をピークに販売台数は減少を続け、昨年は1991台にまで減少しています。
工場の生産能力は7000台規模で、3分の1にも満たないということです。
(参考)中央日報 2020/06/10
現代自動車のバス部門との競争や、天然ガス車や電気自動車を得意とするエジソンモーターズに徐々に押され、業績を悪化させました。
その一因として度重なる労組のストライキで生産力が低下し、受注を失ったことも挙げられます。
国内生産の減少分はベトナム工場などで製造した車両を輸入するとしていて、自社海外工場との競争にも敗れたことになったようです。
蔚山工場の従業員は約600人程度で、彼らは新型コロナウイルスで苦境が続く中、放り出されることとなります。
労組は蔚山市役所前に結集し「使用者側は国内工場を閉鎖して仕事を海外に回す」
「全ての手段を動員して工場を守る」などとして撤回を要求しています。
第一四半期は前年同期比で12.5%の販売量増加など、感染症の影響で他社が苦しむ中健闘しているようですが、
使用者側は経営状態の悪化と需要急減を閉鎖の理由として主張しています。
編集所感
一方でバスの方はというと、まず一つは観光が激減したことで長距離バス会社などが苦境に陥って存続まで危ぶまれる状況ですので、需要も減少していると思われます。
ひとえにバスと言っても路線バスや長距離バス以外にも各企業の社用車や公用車、送迎バスなどもあるわけです。
しかしどの分野でも競合他社としのぎを削る戦いを続けなければならず、生産効率の低い国内工場が今回槍玉に挙がったという事です。
大宇自動車時代はバス製造部門では国内一位を占めていたようですが、現代自動車のバス部門の発展や、
親会社の方針により生産拠点を海外へ移転拡大させたため国内生産は減少。
最終的には統合から10年余りの国内工場を閉鎖するというちょっと噛み合わない戦略に巻き込まれてしまったようです。
わたしが想像するに、国内での労組の反発に苦慮した結果、切り捨てることとなったのだと思います。
色々調べていると、発注から納品までの期間が重要らしく、大半がカスタマイズが必要なため受注生産のようです。
ですのでストライキに入って引渡時期が遅れるとなると注文を受けることができなくなり、他社に流れてしまうということです。
競合である現代自動車もストライキが多いですが、近年は短かったりなかったり。
一方で相変わらずストライキの多い大宇バスは労組が自らの首を絞め続けたというわけです。
親会社の帽子会社の方は、その業態から海外生産に積極的で、恐らく海外では労使交渉が順調なのでしょう。
ストライキなどによる生産停止がなければ安定供給できますし、そもそも人件費が安いのであればそういう方向に舵を切ることになるでしょう。
ただ韓国社会への責任という点を考えると、600人余りの雇用が一斉に失われるわけですし、自動車部品業界への影響も少なくないでしょう。
とはいえこれ以上虚構を続けていくことはできなかったのでしょう。思い切った決断だと思います。
韓国社会からすればふざけるなというところでしょうが、企業存続のためには仕方がなかったのでしょう。
やはり生産性という点でね・・・。
これによって大宇バス自体のイメージ悪化も避けられないと思います。
企業によっては国内生産だから選定していたというところも少なくないでしょう。
それを今度は価格で埋め合わせるしかないでしょうね。人件費は下がるでしょうから。
最近の報道では、日産が韓国から撤退することが取り沙汰されて、35%OFFの大幅割引で注目を浴びています。
恐らくアフターサービスはルノー日産グループのルノーサムスンが受け持つことになるのだと思います。
しかしこのルノーサムスンも釜山工場の半分を占めていた日産ローグの受託生産が終了して輸出が急減しています。
その影響を受けて、赤字を生みだしていた直営のサービスセンターを閉鎖すると発表していました。
(参考)韓国経済 2020/06/10
自動車メーカーや部品メーカーも次々と希望退職を募っているようで、韓国国内の自動車産業は縮小が進んでいるようです。
完成車メーカーの海外移転が進めば国内部品メーカーも海外に工場を建てるかそのまま廃業するかの選択を迫られることになるでしょう。
韓国はいち早く感染症のトンネルから抜け出したように思えましたが、再びトンネルの中を進んでいる状況。
海外もヨーロッパでは感染が一段落したものの、収まらない米国や増加が続くインドを初めとし、世界的には感染の勢いは収まりません。
第3四半期には経済全体が好転するという予測がある中で、
あともう少しが耐えられず、むしろここで倒れないために決断せざるをいけない企業が多くあるようです。
本当に残酷ではありますけど、当然韓国に限った話ではなく、日本でもわたし達の知らないところでこうした苦渋の決断が起きていることとおもいます。
まあ感染症事態があろうがなかろうが世界中で常に起きてはいますけどね。
お〆め
おまけに観光バス会社が倒産すれば、安い中古バスが出てくるでしょうから。
なので経営者目線で考えてみてくださいよ。
毎年一定額以上の賃金を上げろと騒いで生産を停止させる高賃金従業員と、海外の大人しい比較的従順な低賃金従業員。
完成するものは基本的に同じです。どちらを選びますか?という話です。
ただ余りにも労使の関係が悪すぎます。お互い相手の話に聞く耳を持たないですから。
最近の報道を見ているとそういう気分になりますね。