#0079 韓国原発解体難しい!脱原発進まず3年経過・・・
しかしまだ解体計画書どころか地域住民への公聴会も行われず、ただただ時間だけが過ぎています。
廃炉解体には技術力も不足していて、今後の課題は山積みです。
韓国政府が脱原発政策を推進し、古里1号機原発の永久停止を宣言してから3年の月日が経過しましたが、いまだに解体への一歩が踏み出せないようです。
1978年に商用運転が開始された韓国最初の原発で、約40年間稼働し続けてきた古里1号機。
2017年6月19日未明に稼働が停止され、核燃料の冷却作業に入りました。
寿命が30年とされたこの原発の永久停止です。
原子力発電所を運営する韓国水力原子力はまず原発近隣の9つの自治体の住民の意見を聞く公聴会を開催。
そこで住民の声に耳を傾けた上で解体計画書を作成するという手順になっているようですが、公聴会がまだ一度も行われていません。
最も面積が広い蔚州郡が主幹することとなっていましたが、原発のある機張郡が反発していました。
韓国水力原子力は主幹自治体をなくす法改正をし、9月に公聴会を実施、10月には計画書を作成して提出する予定のようです。https://bit.ly/30YNFTV KBS 2020/06/19
当初の計画では2032年に解体作業が完了し、その間少なくとも6000億ウォンの費用がかかると試算されています。
その他廃棄物処分や使用済み核燃料管理費なども含めれば1兆ウォンにも及ぶという試算もあります。
解体計画書が作成され、原子力安全委員会で承認を受けたとしても、高レベル核廃棄物である使用済み核燃料をどのように扱うかが決まっていません。
古里原発の使用済み核燃料の一時保管プールは2024年には飽和状態になるとされています。
この使用済み核燃料を安全に保管する最終処分場の建設場所が決まらないため、韓国政府は臨時処理施設を近隣の自治体に建設するとしています。
最終的には古里原発が使用済み核燃料の最終処分場となる可能性が高まっていて、地域住民の反発が予想されます。
原発解体産業を育成するとしていましたが、こちらも今のところ動きがほとんどない状態です。
韓国政府は4月にこれに関する長期戦略を発表し、2035年には世界の原発解体市場のシェア10%、世界5位以内を目標としています。https://bit.ly/3hKUOx6 マネートゥディ 2020/06/18
文在寅政権の脱原発を批判する市民団体からは、解体に関する議論が進んでいないことを批判する声が上がっています。
また、輸出政策継続のために研究用の原子炉が建設されていることや、研究センターなどの核関連施設が増加していると批判しています。https://bit.ly/310mng4 聯合ニュース 2020/06/19
編集所感
完全に安全な再利用可能エネルギーが安定的に供給されると言う前提であれば当然原発は不要です。
ただ現段階ではこの前提は実現できていないわけですから、今のところは将来そうなることを見据えてどういった立場をとるかというところです。
この前提が、しかも原発全体の費用より安く容易に実現できるのであれば誰も原発を推進しないわけですが、現実はそうではありません。
なのでわたしは脱原発という動きや推進論者を否定はしませんし、脱原発反対論者も否定しません。
不確定要素が多いので両者がぶつかれば議論は平行線を辿るしかありませんから。
そんな中で韓国は、というよりも文在寅大統領は脱原発の道を突き進むと決定しました。
模索しながらの推進ということなので当然批判も少なくありませんし、原発に依存し、推進してきたこれまでの道を真逆に進むのですから、様々な軋轢が生じています。
例えば原発関連事業を行っている企業。
最近の話題では斗山重工業がグループ崩壊危機に陥っています。
主力産業である原発関連事業がなくなってしまったことが大きな要因の一つです。
これは巨大企業グループ、いわば財閥の代表例であって、その他にも多くの事業者が同様に危機にさらされたことでしょう。
余りにも急進だったので・・・。
文在寅大統領の主張では、多くの国が脱原発を推進しているとしていましたが、これは誤りで、
世界で脱原発を表明し推進しているのはドイツ、台湾、スイス、ベルギーの4つです。
他のほとんどの国はあったとしてもまだ理想論や超長期的な目標レベルであり、現段階で稼働停止したり新設を止めたりはしていません。
脱原発についてはこの程度にしておきましょうか。
次に解体の問題ですが、現段階で原発解体技術を有しているのは米国、ドイツ、日本、フランス、といったあたりでしょうか。
韓国はこの5番目に入りたいということだと思います。
そのための人材育成、技術開発を行うとしていますが、どうやら順調に進んでいるというわけではないですね。
他の国はすでに動き始めていますが、韓国は早くても2年後からということになります。
また、廃炉に必要な技術の2割程度にあたる13の技術が未開発で、韓国が目標とする冷却後10年以内の解体を実現するにはこれらの開発が必須です。
それでも今後原発解体市場は巨大になると考えられていて、建設と同様に食い込んでいきたいということのようです。
わたしは政治家として、こうした大きな絵をどんと提示することは良いことだと思います。
政治家の仕事の一つでしょう。そういう意味では文在寅大統領を批判しません。
問題はちょっと根拠がデタラメで偏って急進過ぎるところですが、それは国内で議論すればいい話です。
もう一つの問題点はこの問題がほぼ左右で二分しているため、次も左派の大統領にならないかぎりは実現が不可能ということです。
左派大統領のうちに脱原発はもとより原発解体の足場固めができなければ、
原発改修後運転延長という路線に舵が切られる可能性もあるからです。
世界の潮流はまだ原発寿命延長にありますから、こちらの市場も決して小さくはないわけです。
数十年単位で延長可能とされることから、原発解体ビジネスは脱原発派が試算するような数字にならず、韓国もシェアを伸ばせないという反論もあります。
文在寅大統領の論法はどうあれ、解体ビジネスは今後の柱の一つとなるとも考えられます。これは脱原発の賛否に関わらない部分と思います。
ただそのためには継続的な解体も必要ですから、老朽原発を延命せずに解体するなど、それなりの道筋は必要です。
韓国の現状は、脱原発の賛否と延命・解体の賛否がゴチャゴチャになって、解体ビジネスの推進力が今一つ見えないといったところでしょう。
お〆め
ただ、壁にぶつかった時にすぐに止まってしまうんですかね。